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幸せな働き方
“幸せな働き方”探求
Jul 29, 2024
"カスハラ" は、本当にカスタマー(顧客) だけに問題があるのか?
 「企業・組織のあり方」を問う…!!

近年、皆さんもよく耳にしていると思われる「カスハラ」について、社員を守る立場である企業・組織のあり方に関して記述しています。

 

カスタマーハラスメント

「顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為」1) を「カスハラ」と呼ぶ

 

社員の心身の健康と安全を守る

 

企業・組織がカスハラ対策を急ぐ要因に「社員の心身保護」があげられます。

社員の心身の健康と安全を守ることは、企業・組織の義務でもあります。

 

人材不足の時代に関わらず、誰もが安心して働ける環境を整備することは、持続的に注力していかなければなりません。

カスハラを理由に休職や離職をする社員を出さないことはとても大切なことです。

 

 

カスタマーだけに非があるという捉え方は捨てる

 

トラブルが生じたときにカスタマーだけに非があるという捉え方は、おすすめできません。

単に、カスタマーを責めることは、企業経営、そして社員の育成においても公正な原因分析ができないため、根本解決には至りません

 

勿論、明らかに理不尽、正当な理由が無いにもかかわらずカスハラをする人には、厳正な対応が必要です。

しかし、慎重な対応が必要なことを忘れてはなりません。

 

例えば、

当初、カスタマーは、ハラスメントをするつもりは微塵もなかったのに…

対応者(オペレーターを含む) と対話をしているうちに、段々、雲行きが怪しく…

ということも!!

 

トラブルが発生したときに、形式的に対応者がカスタマーに謝ればすむことではありません。

本来、カスハラ問題は、ひと筋縄では解決できないのです。

 

なぜなら、企業・組織に属する社員(外注している場合も含む) が対応していますが、結局、「個人 対 個人」の問題になってしまうことに起因します。

複数人で対応したとしても、多くの場合、企業・組織の特定の対応者(個人) に矛先が向いてしまいます

 

加えて、カスタマーが加害者で、企業・組織が被害者という、いわば決めつけでの議論になっていることが多く、カスハラに至ったプロセスが有耶無耶になっているのです。

 

 

企業・組織が「お客様相談室」を設置する目的の明確化

 

「お客様相談室」に関する、よくあるケースを示します。どのように解釈されますか?

 

《よくあるケース》

A社の「お客様相談室」にカスタマーC氏が電話問い合わせをしたときのことです。

 

(1) 何度も電話をかけてようやく繋がる

→ C氏は「電話が繋がっただけでもラッキー!!」と思う

 

(2) 自動音声案内に従って問い合わせ番号を選択する

→ C氏の知りたい内容と分類が合致しないこともあるが「とりあえず、近しい番号はこれかな?」と考え、番号を入力

 

(3) オペレーターに繋がってホッとしたのも束の間、「問い合わせ内容を聴取してから担当部署を決定する」と言われる

→ C氏は「担当部署ごとに同じ事を何度も話さずにすみますように…(経験から)」と願う

※ここでの注意点

1案件のつもりでも複数の要因が考えられる場合、担当部署が異なるため各担当部署で1つずつ対応してもらうことを理解しておくべき

 

(4) 担当部署の電話回線が混雑している場合、オペレーターに繋がるまでの所要時間は10分程度(代替案は、時間をおいてから再度かけ直すことだが、振り出しに戻る)、問い合わせを終えるまでの総時間は30分から1時間程度かかることも

→ C氏は「時間に余裕があるときに電話してよかった」と思う

 

(5) 担当部署とはいえ、対応者が何でも即答できることは稀

→ C氏は、対話の途中で何度も保留音を聞くことになるが「自分の問い合わせ内容を解決するためだから仕方ない」と、根気強く待つ!!

 

(6) 最終的に「自分の問い合わせ内容が解決しない」こと、また「欲しい情報が得られない」こともあるのだという心積もりが必要

→ C氏は「諦めも肝心!! 自分でなんとかするしかない」と思う

 

とはいえ、何のための「お客様相談室なのか?」という疑問だけが残ってしまいます。

 

このような経験が積み重なるうちに、人の心理状態は変化していきます。

この変化が、カスハラ化の入口なのです。

 

付け加えておきますが、悪質なハラスメントを計画的に行う人の心理状態は、また別のものとなるため対策も異なります。

 

そして、A社の対応についてハラスメント化するときもあれば、その他の企業・組織に負の矛先が向いてしまうこともあります。

 

本来であれば、生じるはずのなかったトラブルですが、伝染してしまう危険性があります。

 

企業・組織における問題点

 

企業・組織における問題点は、明確です。

 

まず、カスタマーのクレーム対応マニュアルが形骸化しているにもかかわらず、改善していないことです。

 

また、改善可能なオペレーションなどが対応者レベルで放置されていることを企業・組織によって容認されてきました。

 

カスハラ化するまでの間に、カスタマーからクレームを受けることがあります。

その時点で、上層部が全く関与をせず、カスタマーからの建設的な要望などが対応者や担当部署で消化されていることも少なくありません。

 

クレームを企業・組織に対する単なる批判と誤解し、社内での検討を省き、さらには、カスハラに至った経緯を疎かにすることで、また同じようなカスハラ(予備軍を含む) が生じてしまうのです。

 

「社員の心身保護」に本気で取り組む

 

社員を保護する目的でカスハラ対策を行うのであれば、一般的な対応マニュアルの作成(例えば、厚労省や各自治体のガイドラインの全文引用など)、社内外(担当部署やマスコミ) に周知するだけでは不足と言えます。

 

カスハラ対策は、概論としてではなく、企業・組織として個々の特徴に合わせてカスタマイズする必要があります。

 

ポイントとして、

*経営方針に基づくガイドラインの作成

*経営層の積極的な関与(本気の社員保護)

*担当部署任せなど慣習の見直し・改革(社員の相談窓口の整備)

*カスハラに関する啓発研修の全社浸透

*カスタマー権利の理解

*関連法規の修得

*社内外への周知

 

社内外への周知が抑止力に繋がるのは、企業・組織が被害者意識を持たず、迅速に状況を把握、公正な判断、柔軟な対応をしているときで、カスタマーが悪いと決めつけているのであれば、効果が期待できません。

 

企業・組織におけるリスクマネジメントや危機管理の観点から、人的災害を未然に防ぐ対策、万が一起きてしまったときの対応を、経営層と担当部署、関連部署で認識共有しておかなければなりません。

 

いま一度、社員の働きがいや働きやすさと照らし合わせ、サービスを提供する側とサービスを享受する側の両者が、より良い状態になることを社内の課題として考え、実践することが重要と言えます。

〈出所〉

1) 「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」 (厚生労働省, 2022) https://www.mhlw.go.jp

 

当社では、人材戦略を専門とする、防災危機管理有資格者による、企業・組織のカスハラ対応に関するご相談を承ります。

特に、災害の予防、発災の最少化、幸せな働き方(社員の心身保護) について親身に対応します。

お問い合わせは、こちらのフォームにて受け付けています。

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