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幸せな働き方
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多様で柔軟な働き方について考えます​
May. 17, 2023
多様で柔軟な働き方-仕事と治療の両立(その5)
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新型コロナウイルス「5類感染症」移行で忘れてしまいがちなこと…
​ -働く人の健康と働き方への配慮-

 2023(令和5)年5月8日、新型コロナウイルス感染症の位置づけは、これまでの「新型インフルエンザ等感染症2類相当」から「5類感染症」になりました。

政府として一律に求めることはしない

 厚生労働省は、5類移行後の「事業者における従前の対応(例)と対策の効果についての考え方」を以下のように示しています。

-考え方-

 「対策の効果、機器設置や維持経費など実施の手間・コスト等を踏まえた費用対効果、換気など他の感染対策との重複・代替可能性などを勘案し、事業者において実施の要否を判断」1)

 つまり、5類移行前に企業などが実施していた対策として、例えば検温、手指消毒、手袋、飛沫防止具(アクリル板、ビニールシート類)、扉や窓の開放などについて、5月8日から事業者が必要ないと判断したものは、実施しなくてよいという解釈ができます。

 

 また、これに先駆けマスク着用については、2023(令和5)年3月13日以降、「個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本」(厚労省)となっています。

 長きに渡るコロナ禍でやむなく対策を実施してきた企業もあり、事業者に判断が委ねられたことで感染対策に係る時間の減少、リアル(以下、対面という)での会話による仕事のしやすさ、経費削減など目に見えるメリットがあります。

 コロナ禍を機にリモートワーク(在宅勤務など)を導入した企業においては、このところコロナ禍以前の体制に戻す動きが見られましたが、5類移行により一部または全部を対面勤務に戻す企業が更に増えることも考えられます。

多様で柔軟な働き方の推進を止めることではない

 リモートワークの導入は、感染防止・軽減の対処療法ではなく、未来に向けた新たな事業機会の創出、デジタル活用による生産性の向上、働く人の働きやすさや働きがいなどの視点が必要です。

 

 単に過去へ戻そうとする動きを見直し、企業は「仕事と治療の両立支援の在り方」についても改めて考えなければなりません

 コロナ禍では、リモートワークが推奨され、対面で仕事をする機会が減少し、通勤を含め人との接触を減らすことができました。

 そのことで、がんなどの罹患者は、治療中の免疫力低下の状況でも新型コロナウイルスに感染するリスクを軽減するだけではなく、様々な感染症を回避することにもつながりました。

 また、柔軟な働き方が推奨されたことで治療をするための時間調整や体調管理が比較的しやすい環境が生まれました。

 立場や状況が変わることでメリット、デメリットの両者があることは言うまでもありませんが、企業は、仕事と治療の両立支援をする立場、あるいは社員の健康維持・増進をサポートする立場にあることを踏まえ、誰もが気持ちよく働ける環境の整備を持続的に実施することが求められます。

働く人の健康や働き方への配慮が入社意向に関与

 働く人の健康や働き方に配慮している企業に入社を希望する若年層が増えてきています。

 

 経済産業省が健康経営を推進する中で、コロナ禍以前の2016(平成28)年に「健康経営と労働市場の関係性」についてアンケート2) を実施し、以下のような結果が示されています。

 就活生および就活生の親を対象に、就活生には「将来、どのような企業に就職したいか」、 親には「どのような企業に就職させたいか」を3つまで選択する設問では、

《就活生》

・「福利厚生の充実」(44.2%)、次いで「従業員の健康や働き方への配慮」(43.8%)

《就活生の親》

・「従業員の健康や働き方への配慮」(49.6%)、次いで「雇用の安定」(44.5%)

となっており、「企業理念・使命への共感」、「事業の社会的意義」や「業績の伸び・安定」にも増して 「従業員の健康や働き方への配慮」は就活生および就活生の親双方において高い関心があることが伺えます。

 個々の企業にとって最適な人材の確保・流出防止においても健康や働き方への配慮は重視されるべき課題であることを認識し、社会の状況に応じて改善を持続することで企業価値の向上につながるという視点を持つことが必要です。

人的資本経営の重要性

 2022(令和4)年8月、内閣官房は「人的資本可視化指針」3を策定、また同年5月には経済産業省より「人材版伊藤レポート2.0」4) が公開されました。

 

 人的資本情報開示の項目に「健康・安全」が含まれています。

 近年、国内外において「人的資本経営」が重要視されており、人的資本情報開示の文脈を勘案すると、開示義務のある企業や投資家向けに限ったものではなく、人的資本(働く人)の健康や働き方への配慮に注力し、社内外に向けて可視化していくことで、企業価値向上および競争力強化の意義が見出され、実効性を高めることが期待されます。

〈出所〉

1) 「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」 (厚生労働省, 2023) https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html

2) 「健康経営の推進について」 (経済産業省, 2018.9)

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/2018setsumeikai_meti.pdf

3) 「「人的資本可視化指針」(案)に対するパブリックコメントの結果の公示及び同指針の策定について」 (内閣官房, 2022.8.30)

https://www.cas.go.jp/jp/houdou/20220830jintekisihon.html

4) 「人材版伊藤レポート2.0」 (経済産業省, 2022.5.13) https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220513001/20220513001.html

 

 当社では、サステナブル経営(人材戦略) の観点から「治療と仕事の両立支援コーディネーター」によるサポートを提供しています。

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