“幸せな働き方”探求
多様で柔軟な働き方について考えます​
Jun. 28, 2021
多様で柔軟な働き方-仕事と治療の両立(その1)

|はじめに|

 これまでの1年半に渡るコロナ禍は、ビジネスパーソンにとって、心身の健康、働き方および生き方といったキャリアマネジメントに向き合うきっかけをもたらしたのではないでしょうか。

 前回の“幸せな働き方"探求で、「一般的には、個人の健康は自分自身で管理することだと思われている方が多いようですが、社員の健康に留意した「健康経営」について、経営者のみならず働く方々にも認知していただきたい」と記しました。

 「人生100年時代」という言葉先行ではなく、当社の掲げるビジョンでもありますが「持続的に人材が活躍できる社会」を確立していくためには、社員の健康を経営戦略として捉え、実行のスピードを加速する必要があります。

 そこで、人材戦略の中でも、仕事と治療の両立支援の在り方を切り口として話題提供をしていこうと思います。
 

|仕事と治療の両立|

 厚生労働省の発行している『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』では、「「治療と職業生活の両立等支援対策事業」(平成25年度厚生労働省委託事業)における企業を対象に実施したアンケート調査によれば、疾病を理由として1か月以上連続して休業している従業員がいる企業の割合は、メンタルヘルスが38%、がんが21%、脳血管疾患が12%である。また、「平成22年国民生活基礎調査」に基づく推計によれば、仕事を持ちながら、がんで通院している者の数は、32.5万人に上っている。」1)とされています。

 現在、国民の2人に1人は癌になると推定されています。
 過去と比べ、検査、手術、薬剤や治療の選択肢が増え、不治の病ではなくなってきています。
 しかしながら、発見のステージ、細胞の種類や組織型、そして個人の心身の状況に応じて、経過観察や闘病生活を送らなければなりません。

 世の中には、癌に限らず、聞きなれない病気が沢山あり、後遺症(術後合併症 等)を伴うケースもあります。
 病状は個人差が大きく、受けている治療レベルによっても予後に差があります。
 

 インターネットで検索をすればある程度の情報を得ることはできますが、当てはまらないケースも多々見受けられます。
 したがって、職場で罹患者のサポートをする方々は、同じ病名であっても、病状をひと括りにするのではなく、「違いがあるのは当たり前」ということの理解が重要です。

 

 治療との両立は、本人が望む場合と生活のためにやむを得ず両立をする場合の大きく2つに分かれると思います。何れの場合でも本人の努力だけでは厳しい現状があります。
 例えば、雇用されている会社の人的理解、ソフト・ハード面での働く環境や人事制度面での整備状況によって、格差が生じています。
 職場の状況によっては、罹患者が病状を伏せて両立を余儀なくされていることもあります。

 健康経営への取り組みが大規模企業を中心に進んできているとはいえ、両立のサポート体制構築および運用は、途上と言えます。

 病気を経験したビジネスパーソンが仕事に復帰していても、経過観察の段階では完全に病院と縁が切れるわけではありません。
 例えば、服薬、追加治療(放射線・化学療法、リハビリ 等)や精密検査をしながら過ごすことになる方も少なくありません。
 多くの病気は完治するわけではなく再発のリスクもあり、心身の負担を抱えながらモチベーションを維持し両立している方も多いのではないでしょうか。

|おわりに

 治療と両立しながら、果たして幸せな働き方ができるのかという問いに、「裁量の自由度」がキーになるのではないかと考えています。

​ 裁量の自由度を高めることは、治療との両立を含む働き方改革を推進するうえで、雇用サイドの課題として認識することが求められます。

 多様で柔軟な働き方の観点から、仕事と治療の両立支援の在り方を切り口に、引き続き幸せな働き方を探求していきたいと思います。

 以降、次回に続く…。

〈出所〉

1)厚生労働省『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』令和3年3月改訂版, (https://www.mhlw.go.jp)

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