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国際手話

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24002

"ダイバーシティ& インクルージョン" を通じて「障害者差別解消法」を考えてみては…!!(D&I 前編)
 

2024(令和6) 年4月1日、事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供が義務化」され、3ヶ月が経ちました。

 

これまで事業者については「努力義務」としてきましたが、「義務化」となりより関心が向けられているのではないでしょうか。

「自社の対応は大丈夫なのか?」、「理解はしているつもりだが、いざ対応となると心配…」という不安の声も聞こえてきます。

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まずは、どのようなことに配慮する必要があるのかをできるだけ分かり易くお伝えします。

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令和6年版『障害者白書』「令和5年度 障害者施策の概況」(内閣府, 2024) が公開され、「障害者差別解消法」に関して記述されています。

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本記事では、一部抜粋(引用) をしていますので、原文は令和6年版『障害者白書』1) を参照してください。

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"障害者差別解消法" とは?

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-教えて!!ポイント

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|経緯概略|

 

*「障害者差別解消法」は、2013(平成25) 年6月に障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として制定

*2021(令和3) 年に「障害者差別解消法」が改正され、事業者による「障害のある人への合理的配慮の提供が義務化」

*この改正法では、これまで事業者による障害のある人への合理的配慮の提供は「努力義務」としてきましたが、2024(令和6) 年4月1日に「義務化」が施行

 

|対象となる障害者は?|

 

基本的には、障害のある人すべてが該当すると考えておく必要があります。

 

 前掲白書によると、

*対象となる障害者は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む) 、その他の心身の機能の障害(難病等に起因する障害を含む) がある者

*障害及び社会的障壁(社会における事物、制度、慣行、観念など) により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの

*当該者の状況等に応じて個別に判断されることとなり、障害者手帳の所持者に限られない

 

|対象となる事業者は?|

既に行政機関では義務化されていましたが、今回の施行で対象となるのは事業者のみならず、無報酬のボランティアなどでも事業者として扱われるものも含まれます。

また、対面を伴わないオンラインサービスも対象となります。

よって、事業を営む方すべてが該当すると考えておく必要があります。

 

 前掲白書によると、

*行政機関等のほか、事業者も障害を理由とする差別を解消するための措置を行う

*対象となる事業者は、商業その他の事業を行う者(地方公共団体が経営する企業及び公営企業型地方独立行政法人を含む)

*個人事業主やボランティアなどの対価を得ない無報酬の事業を行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人なども、同種の行為を反復継続する意思をもって行っている場合は事業者として扱われる

*対面やオンラインなどサービス等の提供形態の別も問わない

 

|対象となる分野は?|

 

「日常生活及び社会生活全般」となっているため、障害がある人でなくても重要とされる生き方や働き方に関わることが該当すると考えておくことが大切です。

 

 前掲白書によると、

*日常生活及び社会生活全般に係る分野

*雇用分野についての差別を解消するための具体的な措置(「障害者差別解消法」第7条から第12条までに該当) に関しては、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律第123号) の定めるところによる

 

|「不当な差別的取扱いの禁止」とは?|

 

どのような対応が不当に該当するのか判断に迷うかもしれませんが、基本的には「正当な理由がないにも関わらず、障害を理由に拒む」、「障害のない人と異なる条件を付ける」、「日常生活や社会生活で普通に利用している車椅子を拒む」などは、不当とみなされます。

 

 前掲白書によると、

〈不当な差別的取扱いとは…〉

*正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限すること

*障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害する行為

*「改定基本方針」においては、車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも該当

 

〈正当な理由に相当とは…〉

*障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが、客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合

*正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等) 及び行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断

*行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を丁寧に説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい

*行政機関等及び事業者と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図る

 

|「合理的配慮の提供」とは?|

今般、「合理的配慮の提供が義務化」され、対応について不安に思っている事業者の方は、障害のある人にとっての社会的障壁、例えば「車椅子で通行しにくい通路」、「目や耳が不自由な場合に利用しにくいサービス」、「多様性への理解不足」、「障害についての偏見」などを解消するための対策から取り組むことが必要です。

 

障害のない人と同等の機会を得る(与える) という視点が重要ですが、一方で過剰な配慮は、持続性が困難であるだけではなく、事業運営の妨げになることもあります。

よって、障害のある人の理解を得るためには、事業者としての方針を分かり易く説明できる準備をしておくことも大切です。

 

 前掲白書によると、

〈合理的配慮の提供とは…〉

*障害者やその家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要かつ合理的な配慮を行うこと

*こうした配慮を行わないことによって、障害者の権利利益が侵害される場合には、障害を理由とする差別に当たる

*障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものである

*合理的配慮は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、

① 必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること

② 障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること

③ 事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある

*当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、当該障害者本人の意向を尊重しつつ、「過重な負担」の要素等も考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる必要がある

 

〈「過重な負担」とは…〉

*行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) 、実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) 、費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況といった要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要

*行政機関等及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に丁寧にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい

*障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとし、特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた対応を求められることに留意する

 

ここまで、法的内容を踏まえ、ポイントを解説しましたが、実際にはその状況になってみないと分からないことや判断しかねることもあると思います。

 

ただ、何も準備をしていないと臨機応変な対応ができず、障害のある人を拒んでしまい結果的に差別してしまいかねません。

事業者としての方針、具体的な対応について働く方々とも認識共有しておくことが大切です。

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-出所-

1) 令和6年版『障害者白書』「令和5年度 障害者施策の概況」 (内閣府, 2024)

https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/index-w.html

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次回予告

「ダイバーシティ&インクルージョンを通じて"国際手話" の輪を広げよう!! (D&I 後編) 」 について発信を予定しています​​​​​

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