
ウェルビーイング
AUG 11, 2026
"ウェルビーイング" の潮流を「ポストSDGs」から考える!!
|はじめに
SDGsの目標年である2030年まで5年をきり、「ビヨンドSDGs」という言葉を耳にするようになりました。
2027年の国連SDGに先立ち、日本では2025年6月に「ビヨンドSDGs官民会議」が発足されました。
【参考】
ビヨンドSDGs官民会議
ポストSDGsが検討されるようになった背景には、気候変動や生物多様性の損失、格差の拡大など、SDGsで掲げた課題が解決に至っていないことがあると言えます。
「SDGsの未来には、どのような社会を目指すのか」という視点で、ポストSDGsに向けた議論が始まっています。
中でも注目されているのが「ウェルビーイング」です。
厚生労働省によると、「ウェルビーイングとは、世界保健機関(WHO) の考え方を取り入れ個人の権利や自己実現が保障され、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念」として説明されています。
|"ウェルビーイング" への関心の高まり-なぜいま注目されるのか?
「ウェルビーイング」という言葉が初めて登場したのは、いまから80年前の1946年に世界保健機関(WHO) が設立されたときと言われています。
ここ数年で一気に広がりを見せたように思われがちですが、80年の時を経て、再・注目されているのはなぜなのでしょう。
そこには、「GDPだけでは豊かさを測れない」という問題意識があるとされています。
2011年、経済協力開発機構(OECD) は、所得や雇用だけでなく、健康や人とのつながり、主観的な幸福度などを含めて豊かさを捉えるウェルビーイング指標を公表しました。
それから10年経った2021年の政府による「成長戦略実行計画」の中にも「国民がWell-beingを実感できる社会の実現」とあり、「成長戦略による成長と分配の好循環の拡大などを通じて、格差是正を図りつつ、一人一人の国民が結果的にWell-beingを実感できる社会の実現を目指す」としています。
【引用】
内閣官房, 「成長戦略実行計画」(2021年6月18日)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/pdf/ap2021.pdf
ここでも「ウェルビーイング」がこれからの新しい成長に重要なテーマであることが示されています。
2024年には、コミュニティ(組織) および個人(コミュニティメンバー) のウェルビーイング向上に関する国際ガイドライン「ISO 25554: 2024」が発効されました。
【参考】
日本規格協会グループ(JSA GROUP)
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=ISO+25554%3A2024
「ウェルビーイングISOガイドライン認定」(一般社団法人社会的健康戦略研究所)
https://www.kenko-senryaku.or.jp/well-being-iso
先述の「ビヨンドSDGs官民会議」は、2025年に第1回フォーラムを開催しました。
ビヨンドSDGsの議論では、環境や社会課題の解決に留まらず、「その先にある人々の豊かさや幸福をどのように実現するか」という問題意識を掲げています。
|"ウェルビーイング" が注目される背景
ウェルビーイングが注目されるようになった背景として考えられる4点をまとめました。
(1) 2015年からの「SDGsの広がり」
企業・組織の取り組みが可視化され、健康・福祉や多様で柔軟な働き方に関わる機運が高まり、日本版「健康経営」から発展した「ウェルビーイング」の考え方が浸透し始めました。
一方、SDGsは、現時点で世界的に未達成の目標も多く2030年のゴールを経た未来を見据えたウェルビーイングの議論にもつながっています。
(2) 2019年末からの「コロナ禍による意識・行動の変化」
リモートワークなどの普及により、働く人が健康やワークライフバランスを見直すきっかけとなりウェルビーイングに着目するようになりました。
(3) 近年の「経済価値優先による成長の限界」
2021年、世界経済フォーラム(WEF) のクラウス・シュワブ会長らの著書 World Economic Forum "The Great Narrative" で以下のように示唆しています。
「世界的に進歩の尺度として、いままでのような経済とは異なる指標を用いるようになると、生物多様性や社会の結束といったGDPでは測定できないものを重要視することになるだろう。その場合、少なくとも先進国においては、GDP成長率が数% 低下したとしても、環境や社会といった要素のスコアが高い国(「バランスのとれた」質の高い成長をしている国) では、大きな問題ではないと考えるかもしれない。また、日本の高い生活水準と幸福度指標は、GDPがさほど伸びなくても(その中でも一人当たりGDPは着実に伸びている) 、希望をなくす必要はないことを教えてくれる」と言った趣旨が述べられています。
【引用】
Klaus S., Thierry M. (2021). The Great Narrative. World Economic Forum
(4) 教育的視点からの「個人の成長」
2015年から進められてきた、経済協力開発機構(OECD) の"Education 2030" の共有ビジョンに「私たちには、全ての学習者が、一人の人間として全人的に成長し、その潜在能力を引き出し、個人、コミュニティ、そして地球のウェルビーイングの上に築かれる、私たちの未来の形成に携わっていくことができるように支えていく責務がある」と述べられています。
【引用】
OECD. (2018). Education 2030 -Learning Framework-
https://www.oecd.org/ja/publications/1f4fe31d-ja.html
これらがきっかけとなり、さまざまな識者の間で議論されるようになり、ウェルビーイングへの関心が高まっていることが見て取れます。
|さいごに
複雑で予測困難な社会課題が拡大していく時代へのアプローチとして、AIの進化のスピードを前提としたうえで共存しつつ、一方で"人のこころ" の機微に触れる経済価値とは次元の異なる視点や指標から「ウェルビーイング」に価値を創出し、人(人類) に重きを置いた新たな進化の必要性が生じていると言えるでしょう。
✦【ISO25554: 2024】「ウェルビーイングISOガイドライン認定制度」
「ウェルビーイングISOガイドライン認定制度」認定支援コンサルタント(一般社団法人社会的健康戦略研究所 公認)
田中ひろみ (フレキシブルエンタプライズ 代表) が、コミュニティ(企業・組織など) の状況、目的に沿って伴走します
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