"防災の日" をきっかけに…
Sep 01, 2024
防災の日:「災害廃棄物」を増やさない"10の心がけ"
~万が一に備え"片付けごみ" を最小限にする日々の暮らし~
近年は、地域や学校、メディアなどを通じて「防災」についての知識を修得することや訓練の機会が増えたことで、一人ひとりの防災意識が向上しています。
そんな中、自然災害は容赦なく起きてしまい、たくさんの大切ないのち、モノ・コトが失われている事態を痛感している方も多いことでしょう。
「防災」は、文字通り災害を防ぐことですが、その対策は自然災害の種類、被害想定の大きさ、地形や地域特性、人びとの立場や役割などによって異なるため、「これだけ備えているのだから大丈夫」ということにはなりません。
自然災害の種類も多様化し、頻度や被害は一定ではなく、「防災」についても適宜アップデートしておく必要があります。
自宅で備蓄(ローリング・ストック) すること、地域や職場で防災訓練に参加することは、比較的多くの方々が経験されているのではないかと思います。
そこで、平時では皆さんがあまり気に掛けることのない「災害廃棄物」について、日常生活のちょっとした心がけで"片付けごみ" を増やさない「防災」を取り上げました。
|「災害廃棄物」の実状
2024年元旦に起きた能登半島地震のニュースに多くの方が衝撃を受けたことと思います。
被災地では、損壊家屋等の解体・撤去に伴う「災害廃棄物」が大量に発生しており、石川県内および中部ブロック内ではすべての「災害廃棄物」を処理することが困難と見込まれています。
東京都は、横浜市および川崎市と連携し「災害廃棄物」を受け入れることを発表しました。
詳細は、報道発表資料参照
(東京都環境局, 2024年08月23日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/08/23/05.html
「8ヶ月経過するのに、まだ処理できていなかったの?」と、思われるかもしれません。
自治体(石川県生活環境部, 2024年2月29日) によると、石川県全体で約244万トンの「災害廃棄物」が発生すると推計しています(2024年2月6日時点) 。これは、石川県の年間ごみ排出量約7年分に相当すると言われています。
これらは、再生利用可能なモノも含まれますが、そのための処理(金属を取り出す、コンクリートの破砕など) を要します。
過去に起きた自然災害でも「災害廃棄物」の処理について、自治体は膨大なコスト(人、時間、費用など) を費やしています。
詳しくは、当該自治体のWEBサイトから確認することができます。
各自治体では、予め「災害廃棄物処理計画」を作成しており、それに基づき処理を進めることになります。
そして、被災者各人がルールに則り、ごみを出すことが重要です。
被災してから情報を入手するのではなく、日常生活の中で居住自治体における「災害廃棄物」の処理に関するルールを調べておくことをお勧めします。
例えば、「品川区災害廃棄物処理計画」(概要版) では、対象とする廃棄物の種類およびその例を次のように示しています。
まずは、「災害廃棄物」について知ることが大切です。
おさえておきたいポイント
*被災時の片付けごみなどは、自分以外の大勢の被災者も排出すること
*被災時に誤ったごみの分別や排出をすることで、二次災害の恐れがあること
*災害廃棄物は、人命救助などの応急救助活動の支障になる可能性があること
*災害廃棄物は、被災者の生活再建の妨げになること
|一人ひとりの意識と行動で"片付けごみ" は減らせる?
結論から言うと、皆さんの日々の暮らしでの意識と行動で減らせます。
防災とは関係なく、日頃から次のような行動をしている方がいるのではないでしょうか。
実はこれらの行動は、「防災」と密接な関わりがあります。
*自宅には必要最低限(一軍、お気に入り) の家財(家具・家電・生活用品など) しかない
*極力、細々したモノを部屋や自宅周辺に出したままにしない
*天袋やクローゼットにモノを詰め込まない
*自宅内外の床面積をできるだけ広く空けている
これらを意識して実際に行動しているだけでも"片付けごみ" を減らすことに繋がります。
であれば、「自分もやっている」、「自分にもできるかも」という方がいると思います。
|どうして「災害廃棄物」の削減に繋がるの?
パターン1) 意図せず"片付けごみ" が発生
日々の暮らしにおいて、自分が本当に必要とするモノのみを保有し、大切に使っていれば、ごみではなく必需品ですが、万が一災害で壊れたり、濡れてしまい使用不能になってしまうと、ごみに仕分けざるを得なくなります。
パターン2) 日頃から心がけていれば発生しないはずの"片付けごみ" が発生
パターン1) とは異なり、日頃必要としない多くのモノに囲まれて生活をしていると、災害時にごみになってしまうモノの数も必然的に多くなります。不要とはいえ、自分の持ち物がごみになってしまうのは悲しいことです。
上記のパターン1) だけであれば、膨大な「災害廃棄物」にはならないはずですが、パターン2) があることで"片付けごみ" にならざるを得ない数量が一気に増えてしまいます。
先述したような日頃の意識と行動に加え、「防災」にも繋がっていることを理解することで「災害廃棄物」を必要以上に増やさない暮らしにシフトすることが期待できます。
したがって、「災害廃棄物」の削減に繋がるのです。
|「災害廃棄物」を増やさない"10の心がけ"
日頃から自宅の家財(家具・家電・生活用品) を整理しておくことで"片付けごみ" を少しでも減らせるように、次のような心がけを実践してみることをお勧めします。
"10の心がけ"
1) 大型家具・家電は、転倒しないように固定する
⇒壊れて使用不能になるのを回避、併せて転倒物で人が怪我をしないため
2) 新たに高さのある家具・家電を購入するときは、必要性を吟味する
⇒高さのある家財は、転倒の危険性が高く壊れて使用不能になるのを回避するため
⇒万が一、倒壊したときに避難の行く手を阻んだり、人やモノが下敷きになるのを避けるため
3) 既に置いてある家具・家電・生活用品のなかで、故障して使用していないモノや不要になったモノがないか確認し、廃棄処分やリサイクル回収に出す
⇒故障していても部品がリサイクル可能なモノがあるため
⇒平時にごみ処理場で分散して回収する分には、廃棄処理能力の超過を回避できるため
4) 使用していないモノが溢れている場合、そのモノが必要なのか自分に問いかけて、要・不要を仕分け、廃棄処分やリサイクル回収に出す
⇒自分は不要でも、すぐに使いたいという人にリユースしてもらえるため
⇒平時にごみ処理場で分散して回収する分には、廃棄処理能力の超過を回避できるため
5) 必要と思う細々したモノがそのまま置かれている場合、箱などに分別し棚や引き出しに収納する
⇒特に先の尖ったモノ、割れやすいモノなどを纏めて飛び出さないように整理してあるだけでもモノの散乱や怪我を回避できるため
⇒土砂に埋もれたり、水に浸かるリスクを少しでも回避できるため
6) 寝具や重さのある布類は必要以上に持たないようにする
⇒災害で水を含んだ布団などは想像以上に重く、また廃棄場に出す際に小さくしにくいため
7) 日常排出する生活ごみを溜め込まず、自治体のごみ回収日に分別して出す
⇒災害時に生活ごみの回収が通常に戻るまでには一定の日数を要し、悪臭・腐敗など健康上の問題にも発展する可能性があるため
⇒災害廃棄物に通常時の生活ごみを混在させないため
8) 写真や文集、手紙など思い出深いモノは、バックアップ(例えば、データにしてクラウド保存するなど) しておく
⇒被災した場合、アナログで保管していたモノが探し出せない可能性があるため
9) 足下に近いところには、水分に弱いモノを置かないように場所を移動しておく
⇒浸水被害などでは、地面に近いモノから濡れてしまうため
⇒電気系が濡れてしまうと故障で使用不能になること、また漏電や火災に繋がる危険性があるため
10) 天袋などは隠すモノを入れるのではなく、いざというときのスペースとして空けておく
⇒空間があるとついモノを入れてしまいますが、何を入れたか忘れてしまうことや取り出すことが面倒になり、モノが劣化してしまうため
⇒万が一、浸水があったときに天袋など高い所にスペースがあれば地面や床の近くにあるモノを移動できるため
|まとめ
「え~ 10個も心がけがあるの…」と、思われるかもしれません!!
全て同時にやらなくても、ひとつずつできることからで構わないのです。
"片付けごみ" を減らすだけではなく、自分の大切な人やモノを守るためにも意識と行動が重要です。
「防災」にも色々な取り組み方がありますので、まずは"自分ごと" として当事者意識を持ち、次に一つずつ行動に移すことが大切です。
「防災の日」をきっかけに、自分やモノを守る、そして自分の周りの人のために何かできることはないか、ご自身の想像力や行動力を活かしてみてはいかがでしょう。
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